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Name:蒼矢
芋が好きです。
というか澱粉が好きです。
あとたんぱく質も好きです。
そろそろ運動不足と万年金欠を解消しようと思ってはいるけど大抵思うだけで終わる怠惰な学生やってます。


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『黒田長政』 近衛龍春

また東軍?とか言わない。

心情の動きにも凄く踏み込んだ描写がされていて、同じ作者の『片倉小十郎景綱』とは随分違った雰囲気でした。史料が多いのか?晩年ももっと読みたかったなあというのが正直なところですが。

若いころの話を読んでいる時は、なんでこいつ江戸の泰平を生きて迎えられたんだ…?と激しく疑問でしたが、なるほどこういう武将が生き残るのか、と納得したのが関ヶ原でした。
戦場では大将になっても猪武者、でも裏工作もちゃっかりこなす。
一種の典型的な「戦国武将」なのかもしれない、と思いました。

才能で言うなら、頭脳では親(黒田官兵衛/如水)に、武術では部下(後藤又兵衛基次)に到底敵わない、周りの武将はどんどん手柄を挙げて加増されていく。
自分だけが取り残される感覚。
加えて子供時代の過酷な人質体験ときたら、そりゃ、まあ、捻くれるよね…(苦笑)
戦場での長政をって、コンプレックスの塊みたいで。
一番槍をとる家臣、次々と首級を挙げる他の武将、勝てない現実。
嫌っていたはずの父の戦法を使ってしまう自分、そうしなければ勝てない現実。
苛立って、小さな手柄に喜んで、他人の功績に嫉妬して、自己嫌悪して、突っ込んで、叱られて、苛立って…こいつ、恥ずかしいほど人間的で素直だな。でもこれが普通の武士なのかも。
その普通の武士である長政が結果的に勝利軍の武将として生き残ったのは、やっぱり長政に力があったからなんだろうなとも思います。関ヶ原で奔走する姿には、なんか、うおっと思った。
褒められて喜ぶ、叱られてむくれる、認められるために努力する、評価されて誇る。
実に、清々しいほど自分に正直に生きた人でした。面白かった。

描かれ方もあると思いますが、まぁ大変な我儘ボーイでした(笑)。親父がまた色々凄いしな。あれはストレスだよなー。期待もしてたし、尊敬もしてたけど、それだけに反抗心が目立つ目立つ…。
地味に親馬鹿な官兵衛も面白かったです。晩年まで天下を狙った、息子と対照的な野心も。


あとね。
「何故、世間はそんなにも長政・又兵衛主従に沸き上がっているのか」
という謎がキレイさっぱり解けました。
これは又長d(殴)。
うんうん、しょうがないわ。これはしょうがない。酷く納得した。で、ハマった。
親父以上に又兵衛に対して長政がツンデレすぎる!
つーか、え、ちょ、又兵衛ドSすぎ…!もっとやれ。(待て)
あの、まさに敵と一騎打ちの最中である長政をただ見てるだけのシーン。戦扇持って。
なんというドS。
あとで追求されて 「いや、助けたりしたらお前キレるだろ」 とか言うし。
「まぁ本当に危なくなったら割って入るつもりだったが」 とかしれっと言うし。見下しすぎである。
長政は長政で、戦いながら又兵衛気にするし!あんた馬鹿…!
これで幼少時は一緒に育ったってんだから、もうね。

でもこの主従の複雑さもまた読み応えあります。他家の主従と全然違ってて本当に面白い。
この後も…それは『後藤又兵衛』の方で。


長政好きになったー!他のも読みたいです。又兵衛以外の家臣団も強者揃いらしいので気になる。
大河とか特番になればいいのに。

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